第11回ポジティブ介護開催御礼(地域包括ケアに向けた取り組み)

2016/10/28

CIMG095710月22日(土)10時30分から12時30分まで木の葉モール橋本にて第11回ポジティブ介護を開催いたしました。周辺にお住いの地域住民だけでなく、行政や介護専門職の方にもご参加いただきました。少しずつ『ポジティブ介護』が浸透してきたのかもしれません。ありがとうございます

CIMG0955地域包括ケアに向けた先進的な取り組みをしている長崎県佐々町の地域包括支援センターから江田佳子様を講師にお招きし、介護を支える地域の取り組みについてお話頂きました。

(佐々町について)
佐世保市のベッドタウンとして、人口は減少しておらず、横ばい。
H18年に地域包括センター設立。
当初は国の言う通りに取り組みを行い4年間頑張りましたが、ほとんど効果がみられませんでした。
長崎県は介護保険料や介護保険認定率が、全国でワースト1でしたが、その長崎県でも佐々町は最も高い率で推移していました。
そんな中、自治体独自の取り組みをしている和光市のモデルをみて、「そもそもを考えて良いんだ!」と刺激に。
そうしてH22年から、佐々町独自の取り組みをはじめました。

▼佐々町の変革
1.介護認定申請の窓口を、「介護申請受付の窓口」から「介護相談窓口」へ
これまでは、介護保険申請の手続方法や流れなどを説明して、5分から10分ぐらいの時間で対応していました。
しかし、窓口に来られる方が本当に困っているのは、「介護保険を申請する方法」ではなく、「佐々町でどんなふうに暮らしたいか」。
そう気づいて、窓口に来られた方の話を徹底的に聞き、必要あればご自宅に訪問して住民の方がどうやって生きていきたいかのサポートをする姿勢に変えていきました。

2.介護保険認定者でサービス利用のない方への訪問活動
介護保険は取れる状態になれば取るべき、という意識が広まっていますが、そんなことはありません。
介護保険認定者の方でもサービスを利用しない方が2割もいます。
ほとんどの方が「お守り代わり」として認定を受けていますが、地域でしっかり見守っていけば介護保険がなくても寄り添うことができます、

3.地域ケア会議を開催
佐々町のケアマネジャーや介護事業所スタッフなど、介護関係者を巻き込んで、「地域ケア会議」を開催。
・「生活行為復活」に向けての意欲目標を設定
・「何をしてほしいですか」から「何ができるようになりたいですか」
・「期間的自立支援」か「永続的自立支援」の判断
・「切れ目ない支援」を目指す地域包括ケアの実現
などを目標に、保険者と介護関係者がチームとなり、自立支援と地域包括ケアへの方向性を確認し会う場として機能。

4.介護保険を使わなくても利用できる受皿の整備
住民主体でボランティアさんを巻き込み、対象者が選べる多様な受皿を用意しました。
例えば、
・生きがい教室(週1回、介護予防を目的とした生活機能向上プログラム)
午前中は集団活動、午後は個別活動を行っています
・運動個別教室(週1回、佐々町健康相談センターの「リハビリ室」で運動指導士による個別指導を実施)
・佐々町立診療所でもの忘れ外来(毎週月曜)
初期発見であるMCIの発見率が隣の佐世保市とくらべて倍に向上
・はつらつ塾(毎週月・水、70歳、80歳になってもデビューできる趣味活動の場)
・おとこ料理クラブ(週一回、男性だけの料理教室、男同士で作って食べる場)
・カントリークラブ(毎週火・金、農作業を通して介護予防と高齢者の地域交流の場)
・体操クラブ(毎週火・水・金、いきいき百歳体操などで運動機能向上の場)
・訪問型生活支援サービス(コミュニティに出てこれない方のご自宅に、介護予防ボランティアが訪問)
ボランティアだけでなく、専門家による訪問も行い、初期段階における生活動作確立のための生活環境の改善をアドバイス。

▼ボランティアの育成・巻き込み
ボランティア養成研修を実施し、「佐々町介護予防ボランティア」に登録していただく。
養成講座後の育成として「介護予防推進連絡会」を毎月開催。佐々町が目指す地域のあり方(ビジョン)を毎回お伝えする。
ボランティアで活動していただいた方の成果を丁寧にフィードバックして、モチベーションアップへ。

▼これまでの課題とこれからの取り組み
順調にいっていた佐々町の取り組みだが、課題も出てきた。H27年の4月に課題や問題点と向き合うことに。
・教室が仲良しグループになってきて、そこから離れていく人も出てきた
・リーダー的ボランティアさんへの負担。リーダーを継続していける?次のリーダーに引き継げる?
・女性のリーダーがほとんどで、男性の参加が課題

【佐々町の新たな取り組み】
住民が運営する集いの場として「いきいき百歳体操」を導入。
効果として
・なかなかリーダーに手が上がらなかった地区でも、誰かが先生にならなくて良いという安心感から活動が広がる
・男性が納得しやすいエビデンス(運動効果)があるため、男性が主になってスタートする地区も
・虚弱な方でも健康な方でも参加でき、支え合いの姿が広がる
・要支援など軽度な介護度の方の受皿になってきている

元気カフェ ぷらっと(火・水・金 10-15時)
語らい、将棋、カラオケ、室内グランドゴルフ、昼寝など、温かい雰囲気の中、自由にくつろげる場。
・誰でも気軽に利用できる寄り合いの場の提供
・住民同士の支え合い活動
・世代間交流のきっかけとなる活動
・関係機関と連携した総合相談
などを行っている。

あらたな連絡会の発足
・高齢者見守りネットワーク情報交換会(地域のリーダーが集まり、日頃の支援体制の強化を図る)
・佐々町地域支援連絡会(介護専門職の方が集まり、各自のスキル向上の場へ)
・佐々町高齢者見守りネットワーク(民間の事業所などを見守りネットワークとして連携)
・佐々町介護者の会(高齢者や障害者の介護をする方々が、介護相互の情報交換を行い連携を図る)

▼佐々町の取り組みと結果
介護保険認定率の推移

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給付実績と65歳以上の高齢者の推移
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地域住民の介護に関する意識が好転し、介護給付も下がった。介護が本当に必要な方に介護サービスを利用してもらう。まだまだ元気な高齢者には、生きがいを持ってもらえる素敵な場所を町全体で支えていく。そんな素晴らしい取り組みの数々をご紹介いただき、ありがとうございました。

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ソーシャルアップも11月から「福岡の介護を考える会」を発足し、地域包括支援センター・社会福祉協議会・自治会・介護事業所・地域住民・ボランティア等と共に、高齢者を支える取り組みを実践していきたいと思います。

次回ポジティブ介護は

11月26日(土)10時30分から

九州電気ビル共創館3階ビズコリです。

テーマ『介護家族が絶対知っておきたい介護とお金の話』です。

お問い合わせ・お申し込みについて

お電話:092-791-9533

TEL:092-791-9533 / FAX:092-523-5261

一般社団法人ソーシャルアップ 担当/井口(いのぐち)