第10回ポジティブ介護開催御礼(介護保険のサービスで利用できる福祉用具の賢い使い方)

2016/09/24

2016年9月の市民講座「ポジティブ介護」では、熊本で福祉用具の提供を行っている事業所アメックス熊本株式会社の進藤さんを講師にむかえ「介護保険のサービスで利用できる福祉用具の賢い使い方」というテーマでお話しいただきました。

ポジティブ介護2016年9月

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目次
1. 福祉用具とは?
2. 福祉用具を利用できる制度
3. 介護保険で利用できる福祉用具
4. 福祉用具の賢い利用方法移乗用具
5. 最新の福祉用具
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1. 福祉用具とは?

199310月に施行された「福祉用具法」によって、呼び名の統一と定義が定まりました。

福祉用具とは?

福祉用具の目的と役割は、
・失った身体機能の補完・代償
・日常生活における自立度の向上
・介護負担の軽減・省力化
など「介護状態における生活の質の向上」を目的としています。

福祉用具法では、「日常生活上の便宜を図るための用具」「機能訓練のための用具」「補装具」の3つの種類に分けられおり、それぞれ以下のような制度と紐付いています。

福祉用具を利用できる制度

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2. 福祉用具を利用できる制度

大きく分けると「介護保険法」と「障害者総合支援法」の2つの制度を使って、福祉用具の利用を行うことができます。(もちろん制度を利用せずに、自費で利用することも可能)

介護保険制度で利用できる福祉用具は
・在宅で使用するもの
・治療用や医療用ではなく日常生活をサポートする用具
・取り付け工事などを伴わないもの
・既製品(オーダーメイドが必要でないもの)
・基本レンタル、入浴・排泄用具、つり上げ式のリフトなど再利用できないものは例外的に購入できる

障害者総合支援法で利用できる福祉用具は
・移動や就労における能率の向上できる用具
・独立自活するための育成を助長できるもの
・オーダーメイドで製作され、長期間にわたって使用されるもの
・医師など専門家の診断が必要

また、都道府県の裁量で「日常生活用具」という制度で利用できる場合もあります(都道府県によっては無い場合もある)
・障害者などが日常生活を改善し、自立の支援に役立つもの
などですが、各自治体によって利用できる用具が異なります。

福岡市の場合:http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/kaigohoken/00/03/3-020102.html

要介護者、要支援者の場合は原則「介護保険法」による利用、身体障害者手帳所持の場合は「障害者支援法」による利用となります。

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3. 介護保険で利用できる福祉用具

介護保険法では大きく分けると「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」「住宅改修」の3種類が利用できます。

福祉用具貸与(レンタル)
・車椅子
・特殊寝台
・歩行器
・手すり、スロープ
などのレンタルができます。

レンタルは以下のような流れで契約→メンテナンスを行っていきます。

福祉用具レンタルの流れ

福祉用具をレンタルする場合の事業者選びをする際は、この流れの中の
・福祉用具サービス計画書作成をしっかりと行なってくれるか
・モニタリングをきちんと行い、定期的に行い、レンタル用具の適宜見直しなどを行ってくれるか
を見極めましょう。

(福祉用具サービス計画書の例)

a
(モニタリングシートの例)

福祉用具モニタリングシート

福祉用具貸与(レンタル)では、以下のような用具のレンタルが可能です。

福祉用具-車椅子福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具福祉用具

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4. 福祉用具の賢い利用方法移乗用具

移乗とは、今いる位置・姿勢から別の位置・姿勢に移る動作のことです。

健常者にとって、「移乗」は意識されていない動作ですが、ひとたび動作が困難になると、大きな問題になってきます。

移乗と介護

移乗(介護)の基本的な考え方は
1自分でできることは、自分で
2できない部分をマンパワー、福祉用具、住環境整備などで補う
という考え方ですが、画一的な介護は、「自分でできること」を奪ってしまいます。

以下のように、自分でできることをサポートできるような用具を利用することをおすすめします。

立位移乗立位移乗の動作
立位移乗に必要な福祉用具

座位移乗
座位移乗座位移乗に必要な福祉用具

また、立位や座位による移乗が困難な方の場合には、リフトを使った移乗の利用が必要になります。

リフト移乗つり具移乗

海外製品などをはじめ、さまざまな年代や体型にあった、リフトが開発されており、画一的な製品ではなく、個々に応じた製品が増え始めています。

介護・障害用リフト

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5. 最新の福祉用具

福祉用具はアナログなものが多く、デジタル化やIoTが遅れている分野ではなりますが、徐々に多機能化が進んでいます。

最新の福祉用具最新の福祉用具最新の福祉用具

ただし、いずれも高額であるため、自費で購入する方がどれぐらいいるのか、レンタルになった場合にどのぐらいの費用になるのかなど、利用にあたっての懸念点が多く、今後在宅介護の現場にどのぐらい浸透していくのか注目しています。

ポジティブ介護2016年9月

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質疑応答

Q:福祉用具を利用する場合、利用者側の希望に応じて用具を利用することはできますか?
原則、利用者さんの意思を尊重して用具を決めていきますが、ケアマネさんがついている場合は、ケアマネさんも交えて利用を決めることが多いです。
介護保険申請前でケアマネさんがついていない場合は、事後申請により、先に福祉用具を導入し、あとで介護保険の給付を受けることもできます。

Q:介護施設を経営していますが、福祉用具事業者さんにモニタリングやメンテナンスを依頼することはできますか?
基本的に介護保険制度では事業者のモニタリングは義務づけられているが、福祉用具業界は自由競争なため、事業者によって頻度や質が異なります。
一度、現在取引されている事業者さんに問い合わせてみたり、他の事業者さんに訪ねてみることをおすすめします。

Q:事業所選びで、計画書の作成やモニタリングの他に、違いや選び方のポイントはありますか?
自由競争になっているため、後発の事業者さんは低価格で提供している場合があります。
厚生労働省が介護サービス情報を公表しているサイトがあるので、そういった情報を利用するのも、事業者選びの参考になると思います。
http://www.kaigokensaku.jp/
また、福祉用具をお試して1週間ほど使ってみるサービスなどを提供している事業者もありますので、利用してみると良いと思います。

 


来月(2016年10月)のポジティブ介護は「地域包括ケアに向けた取り組み」です!

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一般社団法人ソーシャルアップ 担当/井口(いのぐち)